| 宮崎日日新聞 2006年7月6日 朝刊 茶の間 「妻へ」の手紙 沖原恵子 早いものですねえー。あなたが逝って、この五月に三回忌を終えました。 これを機に掃除でもと、見るのもつらかったあなたの部屋に入りましたら、空になったデパートの紙袋が五枚重ねて入って、机の横に立て掛けてありました。その中の三枚目の袋の底に「妻へ」と書かれた封筒があり、手紙が入っていました。「平成13年暮」とありますから、発病するちょうど一年前のものです。 「結婚してもうすぐ四十五年になるねえ。貴方には苦労と心配ばかりかけてきたのに、今迄(まで)言った事のなかったありがとうの言葉を、今日は言います。贈り物も一度もしなかった。長年よく尽くしてくれたね。来年春の四十五周年には今迄の分も含めて、何か贈り物をしようと思っている。私の世代では照れ臭(くさ)いと云(い)う思いが強くて、とてもそういった気持ちにならなかったし、言えなかった。次に言いたい事は貴方の頑張りに対する感謝の気持ちだ。我が妻ながら、それは驚きの連続だった。(後略)」 あなたが、こんな気持ちでいてくれたなんて夢にも思いませんでした。この手紙を見て私はまた、たくさんの涙を流しました。あなたはどんなマジシャンでもできない技で、手紙を出してくれたのですもの。私もこの悲しみと孤独から、早く抜け出さなきゃね。 (宮崎市・無職・70歳) |
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